自由の値段|第1話 ボートに住みたくないと言った日

カイトが言った。

「ボートに住みたくない。」

理由は単純。
今日は友達と遊びに行く。
芋(父)が不在だから、ボートにいてくれと言われた。

面倒くさい。
不便。
普通の家がいい。

感情としては分かる。


芋の返答は一言。

「じゃあ陸で借りたら?」

カイト「未成年だから無理。」

芋「……。」

話は終了。


冷たい?

違う。

これは教育。


■ この日の前提

① ボート生活は不便もあるが家賃はかからない
② 未成年は賃貸契約できない
③ 陸で暮らすには毎週家賃が必要
④ 光熱費・食費・交通費は必ずかかる
⑤ 働けばお金は得られるが時間と体力は有限
⑥ インフレは待ってくれない
⑦ 自由=自己責任

この前提を感情ではなく、
数字で見る日が今日だった。


その日の学校課題。

「大学進学後、一人暮らしは可能か?
収入と支出を計算せよ。
インフレも加味せよ。」

タイミングが完璧すぎる。

さっきまで「住みたくない」と言っていた少年が、
今は真剣にキーボードを叩いている。

家賃。
食費。
電気代。
バイト時給。
Youth Allowance。
税引き後の手取り。

画面に出てくるのは感情ではなく数字。


ここが重要。

親が100回説明するより、
自分で式を打つ方が効く。

年間収入 − 年間支出 = 現実

数字は優しい。
でも残酷でもある。


私はその紙を写真に撮った。

「なんで撮ったの?」と聞かれた。

「これ母ちゃん人に教えてお金もらってるの。英語で即説明できないからChatGPTに入れて整理したの。必要なら読んでいいよ。」

読んでいた。

しめしめ。


今日起きたことは小さい。

でも本質は大きい。

「住みたくない」と言えるのは、
誰かがコストを払っているから。

自由は美しい。

でもタダじゃない。


第1話の結論はこれ。

自由には値段がある。
そしてその値段を払う覚悟がある人だけが、
本当の意味で選べる。


この話は②-人生設計の前提にまとめていく。

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