脳出血

aya story

1-17 少しずつ、理解が追いついた

全部、理解していて、できているつもりだった。泣いたあと、世界が急に変わったわけじゃない。でも、少しだけ、つながり始めた。自分がどこにいて、何をしていて、なぜ守られているのか。全部じゃない。一部だけ。説明を聞いても、すぐには入ってこない。でも...
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1-16 泣いた日

ある日、突然、感情だけが追いついた。理由は、はっきりしている。母と姉が、私の死に目に会いに来ていたことを、覚えていなかった。事実は、もう知っていた。でも、理解と感情が、同時に来ていなかった。その日、それが一気に来た。思い出せない。顔も、声も...
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1-15 毎日、同じことを聞かれた

毎日、同じことを聞かれた。名前。生年月日。なぜ、ここにいるのか。答えは、分かっているはずなのに、口から出すたびに少しずつ違った。昨日も、同じ質問をされた気がする。でも、「昨日」が本当に昨日なのかは分からない。正解かどうかより、答え続けること...
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1-14 いつ移動したのか分からない

Gold Coast Hospitalに移っていた。それを、私は後から知った。いつ移動したのかは、覚えていない。その日の記憶も、移動の記憶も、ない。「今日からここだよ」と言われたのかも分からない。気づいたら、場所が変わっていた。病院の空気が...
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1-13 病院の中で迷子になった日

ある日、病院の中を歩いていた。どこへ行くつもりだったのかは、分からない。用事も、目的地も、はっきりしない。気づいたら、自分がどこにいるのか分からなくなっていた。廊下は続いているのに、位置関係が頭に入らない。戻ろうとしても、戻れない。焦りはな...
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1-12 大切な友人たちが回してくれていた時間

私が何も分かっていない間、大切な友人たちが現実を回してくれていた。病院のこと。移動のこと。母と姉の滞在。誰が何を決めたのか、私は知らない。説明も、相談も、受けていない。それでも、物事は滞りなく進んでいた。私は、ただベッドにいた。この頃の私は...
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1-11 母と姉が来ていたことを後から知る

母と姉が、オーストラリアに来ていた。それを、私は後から知った。会っていたはずなのに、その瞬間の記憶がない。声をかけられたのか、触れられたのか、分からない。ただ、来ていたという事実だけがある。その頃、ICUの状況を説明した一枚の紙が、母と姉の...
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1-8 CTで出血が確認された

(後から聞いた話・最終版)ここから先は、私の記憶じゃない。後から、聞いた話だ。病院に着いて、CTを撮った。そこで、出血が確認された。さらに、救急車の中で上の血圧が250あったと、後になって知った。その時の説明を私は覚えていない。理解できる状...
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1-7 病院に着くまで

救急車の中に、カイトが同乗していた。それは、はっきり覚えている。とにかく寒かった。毛布があったのか、エアコンだったのか、分からない。外の寒さじゃない。体の内側から冷えていく感じ。カイトが手を握ってくれていたような気もする。話したような、話し...
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1-6 記憶が途切れる

救急車の中までは、覚えている。揺れも、寒さも、音も。そこまでは、確かにここにいた。でも、そこから先がない。気づいたら、時間が飛んでいた。どこに着いたのか、誰と話したのか、何をされたのか。順番が、存在しない。映像も、会話も、つながらない。「意...