脳出血

aya story

2-27|極端なポジティブが始まった

ミシン室に慣れてきた。泣いたあと、何かが切り替わった。期待を持たなくなった。前みたいに戻ろうとしなくなった。比べるのをやめた。私は、ここにいる。それでいい。できないことは増えた。でも、残っているものもあった。座って仕事ができる。給料が出る。...
aya story

2-26|翌日、ミシン室が天国に変わった

翌日も、ミシン室に行った。同じ場所。同じ音。うるさいのは、変わらない。機械の音は、ずっと鳴っている。でも、昨日とは違った。座って作業できた。立ちっぱなしじゃない。冷房が効いていた。ペースは遅い。でも、誰にも急かされない。取り返そうとしなくて...
aya story

2-25|ミシン室へ

ある日、理由ははっきり伝えられた。「ミシン室に行ってくれ」それだけだった。配置換えじゃない。調整でもない。左遷だと、すぐに分かった。私は、その場で何も言わなかった。反論もしない。質問もしない。できているつもりだった自分と、判断された現実が、...
aya story

2-24|違和感

復職して、しばらくして。小さな違和感が出てきた。大きな失敗じゃない。怒られることもない。ただ、噛み合わない。説明を聞いているのに、頭に残らない。確認したつもりが、抜けている。私は、焦っていた。早く、前の自分みたいに働かなきゃいけない。その気...
aya story

2-23 ダメもとで、前の職場に連絡した

車の運転を再開した頃と、同じ時期だった。前の職場に、連絡してみようと思った。電話じゃない。メッセージだった。理由は、はっきりしていない。準備が整っていたわけでもない。自信があったわけでもない。ただ、このまま何もしないのは違う気がした。ダメも...
aya story

2-22 半年たって、運転を再開した

半年たって、車の運転を再開した。怖さは、なかった。緊張も、ほとんどなかった。それが、今思うと一番おかしかった。ハンドルを握って、エンジンをかけて、普通に走り出した。信号も、標識も、見えていた。だから、大丈夫だと思った。でも、大丈夫じゃなかっ...
aya story

2-21 電車で、ブリスベンへ

大切な友人に会いに行くためだった。別の大切な友人と、電車に乗った。運転は、まだできない。でも、切符だけは先に買っていた。GO CARD。それが、少しうれしかった。電車の中は、情報が多い。人の流れ。アナウンス。窓の外の速さ。全部を追うと疲れる...
aya story

2-20 芋が、手をつないでくれていた

外を歩くとき、芋は手をつないでくれていた。言葉はなかった。「大丈夫?」とも聞かなかった。ただ、手がそこにあった。私は、まだ自分の感覚を信用できていなかった。ふらつくかもしれない。急に疲れるかもしれない。でも、手をつながれている間は、考えなく...
aya story

2-19 大切な友人が、毎日散歩に付き合ってくれた

退院してから、外を歩くようになった。一人ではなかった。大切な友人が、毎日付き合ってくれた。時間は、だいたい朝8時ごろ。私は、ボートに住んでいる。芋が、ゴムボートで桟橋まで送ってくれていた。エンジンの音。朝の空気。水面の光。短い移動だった。桟...
aya story

1-18 芋は、退院を喜ばなかった

私は、退院できると聞いた。もう大丈夫だと思った。全部、理解していて、できているつもりだった。でも、芋は喜ばなかった。安心した顔も、達成感も、なかった。むしろ、慎重だった。「まだ早い」という空気が、はっきりあった。私は、なぜだか分からなかった...