
昔は「読み書きそろばん」と言った。
文字を読める。自分の考えを書ける。計算ができる。暮らしていくための土台だ。
じゃあ、今の時代は?
私は、英語・お金語・AI語。この三つだと思っている。
もちろん、読む力も書く力も計算する力も、今だって必要。その土台の上に、これからの暮らしを自分で動かすための三つの言葉がある。
英語は、オフラインで世界中の人とつながる言葉。
お金語は、家庭のお金と暮らしを読み解く言葉。
AI語は、AIとやり取りし、自分の考えや行動につなげる言葉。
全部、専門家になるためじゃない。自分の生活で使うためだ。
英語。画面の外で、人とつながる言葉。
「英語なんて、AIが翻訳してくれるじゃん」
うん。助かる。私も使う。
でも、私が英語を必要だと思うのは、画面の外に生活があるから。
隣にいる人と話す。職場で困っていることを伝える。子どもの学校で質問する。誰かの冗談に笑って、その場で言い返す。
携帯を出して翻訳する方法もある。でも私は、目の前の人と、自分の言葉でつながりたい。
完璧な文法じゃなくてもいい。間違えても、聞き返してもいい。「私はこう思う」「それは困る」「もう一度説明して」と、自分の口で言えること。
オーストラリアで暮らしていると、英語は試験の科目というより、暮らしに参加するための言葉だと感じる。
翻訳できることと、人と関係をつくれること。その間には、まだ人間の仕事がある。
お金語。家庭の暮らしを、自分で読み解く言葉。
私は「Money is a language. お金は言語だ」と言っている。
お金にも単語がある。収入、支出、利息、借金、税金、年金。
でも、単語を知っているだけでは、家庭のお金は回らない。
「複利を知っています」
「この制度、説明できます」
で、それを自分の家ではどう使うの?
収入が入ったら、何にいくら回すのか。仕事が止まったら、何か月暮らせるのか。子どもが家を出たいと言ったら、何にいくら必要なのか。今使うお金と、将来の自分に残すお金を、どう分けるのか。
ここまでつながって、やっと暮らしの中で使える言葉になる。
言語でいうなら、単語だけでなく、文法と文脈が必要だ。
同じ収入でも、家族の人数、健康、年齢、働ける時間、住んでいる場所で、組み方は変わる。夫婦で協力できる家庭もあれば、そう簡単にはいかない家庭もある。
「夫婦でよく話し合いましょう」
それができれば苦労してねえんだよ、という家もあるでしょう🤣
だったら、その条件の中でどう解くかを考える。
私が扱いたいのは、家庭のお金。そこで暮らす人が、今日を回して、明日の選択肢を残すためのお金だ。
AI語。答えを受け取った、その先まで。
AIも、暮らしの中で使える言葉になってきた。
文章を書く。難しい説明をかみ砕く。英語のメールを手伝ってもらう。頭の中で散らかった考えを整理する。
便利だ。本当に助かる。
でも、整った答えが一瞬で出てくると、問題まで解決した気になることがある。
家計の表ができた。でも、実際にはお金を移していない。
立派な計画ができた。でも、自分の体力では続けられない。
伝える文章ができた。でも、相手と話すところまでは進んでいない。
画面の中では完成している。暮らしの中では、まだ始まってもいない。
だから、私がいうAI語は「便利なプロンプトを何個知っているか」だけの話ではない。
何を解きたいのか。どんな事情があるのか。出てきた答えは本当か。自分の家で実行できるか。実際にやって、どうだったか。
そこまで考えて使うことだ。
AIに聞く力と、AIの答えを自分で判断する力。両方いる。
自分が何を大事にしたいのかまで、丸ごと渡してしまっていいのか。私は、そこは自分で持っていたい。
三つの言葉は、暮らしの中でつながっている。
例えば、子どもが「家を出たい」と言ったとする。
英語で住まいや仕事の情報を読み、人に質問する。お金語で、家賃だけでなく食費や交通費も含めて生活を計算する。AI語で、調べることを整理したり、見落としている出費を洗い出したりする。
そして最後は、実際に物件を見て、仕事の条件を確かめ、自分で決める。
三つの言葉を使う先には、いつも現実の暮らしがある。
だから私は、子どもたちに「正解をもらうのが上手な人」になってほしいわけではない。自分の条件を見て、考えて、動いて、うまくいかなかったら解き直せる人になってほしい。
それは、大人の私たちにも同じことだ。
私は、家庭のお金から伝えていく。
こんな話をすると、ずいぶん大きなことを言っているように聞こえるかもしれない。
でも、私が仕事として扱うのは家庭のお金。そこに興味があるし、そこに時間を使いたい。
昔の「読み書きそろばん」だって、全部を一人の専門家が教えていたわけじゃないでしょう🤣
私は家庭のお金の側から、暮らしに必要な言葉を伝えていく。
親子で、単語から覚えてもいい。大人になってから、自分の家計を解き直してもいい。知っているつもりだったことを、使えるところまで持っていけばいい。
英語・お金語・AI語。
私にとっての、現代の読み書きそろばん。
その目的は、知識を増やして自慢することじゃない。
自分と家族の暮らしを、自分の手で動かすこと。そして、「こうしたい」と思ったときに、選べる余白を残すことだ。



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