介護とバリアフリーの逆説|第7話 本当のバリアフリーとは何か

ここまで、バリアフリーの逆説を書いてきた。

  • 転ばない設計が、転ぶ身体を作ることがある
  • 便利すぎる家で、人は機能を失うことがある
  • 優しさが、自立を奪うことがある
  • できることを残す支援こそ大切なことがある

では、結局どうすればいいのか。

答えは極端ではない。

段差を全部なくせ。
手すりを全部つけろ。
何でも自分でやらせろ。
全部介助しろ。

どれも違う。

本当のバリアフリーとは、その人に合わせることだ。

年齢ではない。

70代でも元気な人はいる。
90代でも自転車に乗る人もいる。
逆に若くても機能が落ちている人もいる。

見るべきは数字ではなく、現在地だ。

  • 脚力はあるか
  • バランスはどうか
  • 認知機能はどうか
  • 痛みはあるか
  • 意欲はあるか
  • どこまで自分でできるか

この視点が必要になる。

たとえば、

風呂場は危険だから手すりをつける。
夜間動線は明るくする。
階段は安全対策をする。

でも、

歩ける人から歩く機会まで奪わない。
立てる人から立つ機会まで奪わない。
選べる人から選ぶ機会まで奪わない。

守る場所と、使う場所を分ける。

それが本物の設計だ。

介護の目的は、何もさせないことではない。
住宅の目的は、何もしなくて済むことでもない。

安全を確保しながら、人の力を最後まで使える環境を作ること。

それこそが、本当のバリアフリーだと思う。


シリーズまとめ一文

人は年齢で弱るのではない。
使わない力から弱っていく。

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