ここまで、バリアフリーの逆説を書いてきた。
- 転ばない設計が、転ぶ身体を作ることがある
- 便利すぎる家で、人は機能を失うことがある
- 優しさが、自立を奪うことがある
- できることを残す支援こそ大切なことがある
では、結局どうすればいいのか。
答えは極端ではない。
段差を全部なくせ。
手すりを全部つけろ。
何でも自分でやらせろ。
全部介助しろ。
どれも違う。
本当のバリアフリーとは、その人に合わせることだ。
年齢ではない。
70代でも元気な人はいる。
90代でも自転車に乗る人もいる。
逆に若くても機能が落ちている人もいる。
見るべきは数字ではなく、現在地だ。
- 脚力はあるか
- バランスはどうか
- 認知機能はどうか
- 痛みはあるか
- 意欲はあるか
- どこまで自分でできるか
この視点が必要になる。
たとえば、
風呂場は危険だから手すりをつける。
夜間動線は明るくする。
階段は安全対策をする。
でも、
歩ける人から歩く機会まで奪わない。
立てる人から立つ機会まで奪わない。
選べる人から選ぶ機会まで奪わない。
守る場所と、使う場所を分ける。
それが本物の設計だ。
介護の目的は、何もさせないことではない。
住宅の目的は、何もしなくて済むことでもない。
安全を確保しながら、人の力を最後まで使える環境を作ること。
それこそが、本当のバリアフリーだと思う。
シリーズまとめ一文
人は年齢で弱るのではない。
使わない力から弱っていく。


コメント