介護とバリアフリーの逆説|第6話 老犬が教えてくれた、できることを奪わない愛

うちには15歳の老犬がいる。

若い頃のようにはいかない。
足取りもゆっくりになった。
動きにも慎重さが増えた。

それでも毎日、ボートの乗り降りという課題がある。

降りる時は家族みんな手伝える。
でも乗る時は違う。

なぜか芋にしか任せない。
他の家族がやろうとすると、怒る。噛もうとする。

最初は頑固に見えるかもしれない。

でも違う。

あれは、誰なら安全に任せられるか分かっている反応 だ。

高齢になると、

  • 足場の怖さ
  • 体勢を預ける不安
  • 痛みへの警戒
  • 失敗への恐れ

こういう感覚が強くなる。

その中で、毎回うまく乗せてくれる人だけを選んでいる。

そしてもう一つ大事なのは、
まだ自分でやる部分が残っていること。

タイミングを見る。
足を出す。
踏ん張る。
体を預ける。

全部抱っこされて終わりではない。

これが大事だ。

介護では、全部やってあげることが愛だと思われやすい。
でも現実は違うことがある。

やらなくなった動作は、できなくなる。
使わなくなった力は、落ちていく。

だから本当に優しい介護は、

  • できる部分は任せる
  • 危険な部分だけ支える
  • 時間がかかっても待つ
  • 本人の自信を残す

この形になる。

犬でも人でも、本質は近い。

守ることと、奪うことは紙一重だ。

全部やるのが愛ではない。

できることを残すのも、立派な愛だ。

次回、本当のバリアフリーとは何か。

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