日本社会と同調圧力
ここまで読んでくると、ひとつ疑問が残る。
もし羽仁もと子が
100年以上前に生活からお金を考える思想を作っていたのなら、
なぜ彼女は
「金融教育の思想家」
として語られていないのだろう。
日本では多くの場合、
「家計簿を広めた人」
という説明で終わる。
でもそこには、日本社会の構造が少し関係している。
日本の同調圧力
日本ではよく
同調圧力
という言葉が使われる。
周りと同じであること。
目立たないこと。
空気を読むこと。
こういう文化は、日本社会の中でかなり強く働く。
もちろん、それが社会の安定を支えてきた面もある。
でも同時に、
少し変わった考え方や
新しい思想は
広がりにくい。
思想より実務
もうひとつ、日本の特徴がある。
生活の話は
思想ではなく
実務
として扱われることが多い。
家庭
生活
家計
こういうテーマは
哲学
政治
経済
のような分野に比べて、
思想として語られることが少ない。
その結果、
羽仁もと子の仕事も
生活思想
というより
家事教育
として扱われてきた。
目立たない変化
羽仁もと子がやったことは、
革命のようなものではない。
政治運動でもない。
彼女がやったのは
生活を少し整えること。
家計を見直すこと。
日々の暮らしを意識すること。
つまり
静かな変化。
こういう変化は、多くの人の生活の中に広がる。
でも歴史の中では
大きな思想として扱われにくい。
日本社会の中で残ったもの
それでも彼女の考え方は、日本の家庭の中に残った。
家計簿。
生活を整えるという感覚。
無理をしない暮らし。
こういう考え方は、
多くの家庭の中で受け継がれてきた。
目立たないけれど、
確実に広がった。
もう一度見直すと
今、金融教育という言葉が広がっている。
投資
資産形成
金融リテラシー
でも羽仁もと子が見ていたのは、
もっと手前だった。
生活。
食べること
住むこと
育てること
日々の暮らしの中で
お金の使い方は決まっていく。
100年以上前に書かれた言葉なのに、
今読んでもかなり現代的に感じる。


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