外国から見た日本|第1話 高架下で寝た夜

25年前。

名古屋に住んでいた頃の話だ。

ある夜、飲みすぎた。

そして気がついたら
高架下で寝ていた。

完全に酔っぱらって
そのまま寝落ちしたらしい。


普通に考えれば危ない。

襲われてもおかしくない。
財布を取られてもおかしくない。

でも何も起きなかった。

目が覚めたとき

財布も
携帯も

全部そのままだった。


もう一つ覚えていることがある。

高架下には
浮浪者が何人か住んでいた。

その中の一人の女性が

水のペットボトルを持って
私の横に座っていた。

何も言わず。
ただ座っていた。


もしかしたら

見張ってくれていたのかもしれない。

今でもそう思う。


そのとき少し感動したのを覚えている。

日本という国は

「ルールが厳しい国」
「真面目な国」

そう言われることが多い。

でもあの夜、私が感じたのは
それとは少し違う。


社会の空気が優しい。


日本では

財布を落としても戻る。
スマホを忘れても戻る。

これは奇跡ではない。


社会の前提だ。


列に並ぶ。
電車で静かにする。
落とし物を届ける。

こういう行動は

社会の信用コストを下げている。

つまり

社会の摩擦を減らしている。


信用が低い社会では

監視が増える。
警備が増える。
契約が増える。

つまり

社会のコストが上がる。


でも日本は違う。

文化がそれを支えている。


だから日本社会は

法律や監視だけで
動いているわけではない。


信用で回っている社会だ。


そして面白いことに

この文化は

金融にも影響している。


日本人は投資を怖がる。

そう言われることが多い。

でも別の見方をすると

信用を前提に社会が動いている。


銀行が潰れる。
預金が消える。

世界では普通に起きる。

でも日本では
それを想像する人が少ない。


つまり日本は

金融が強い国ではない。

それでも

信用が強い国だ。


そしてこの信用は

実は世界の資本家から
かなり評価されている。


外国人は
なぜ日本株を買うのか。

次の記事では

日本は先進国なのに
金融では特殊な国である理由

この少し不思議な構造を
もう少し深く見ていく。

このシリーズは⑧ 社会・制度の前提にまとめていきます。

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