父の突然死と母の決断
父は59歳で亡くなった。
くも膜下出血だった。
私は24歳。
社会人になったばかりだった。
突然だった。
大学の図書館で働いていた父は、
書庫で倒れた。
「痛い、痛い」と言いながら
這って外に出てきたと聞いた。
妻を呼んでくれ、と。
そのあと母から
私の職場に電話が来た。
私は名古屋から
新幹線で新潟へ向かった。
駅を出る出口を間違えて、
反対側に出てしまったのを覚えている。
なんとかタクシーで病院に向かった。
着いたときには
父はもう一般病棟に移っていた。
脳圧が高くて
手術は出来ないと言われた。
母は言った。
延命はしません。
それから数日、
父が自然に逝くまで
家族で付き添った。
私は一度トイレに行って
一人で号泣した。
父が亡くなった瞬間、
父の兄が先に号泣していた。
正直、少しだけ
冷めてしまったのを覚えている。
人の死って、
そんなものかもしれない。
父が亡くなったあと、
母は新潟で一人荷造りをした。
そして函館へ戻った。
父が買っていた
五稜郭タワー横のマンションへ。
父はそこに
一日も住むことなく亡くなった。
そのマンションで
母は今も一人で暮らしている。
今思う。
母は
どうやって動けたのだろう。
夫が突然亡くなって、
一人で引っ越しをして、
生活を立て直す。
簡単なことではない。
でも母はやった。
理由は一つだと思う。
現金があった。
借金がなかった。
だから
・葬儀
・引っ越し
・新しい生活
すべて自分で決めて動けた。
もしお金がなかったら、
きっと状況は全く違っていた。
母は特別な人ではない。
ただ
家計を管理し
借金をせず
現金を残していた。
それだけ。
でもそのお金は
命金だった。
命金とは
人生が突然止まったときの燃料。
人生は、本当に突然止まる。
父は59歳で亡くなった。
誰にも予告はなかった。
だから私は思う。
人生は計画通りには進まない。
でも
準備はできる。
それが
命金。
※この話は「思考の前提」カテゴリにまとめてあります。


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