aya story

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2-23 ダメもとで、前の職場に連絡した

車の運転を再開した頃と、同じ時期だった。前の職場に、連絡してみようと思った。電話じゃない。メッセージだった。理由は、はっきりしていない。準備が整っていたわけでもない。自信があったわけでもない。ただ、このまま何もしないのは違う気がした。ダメも...
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2-22 半年たって、運転を再開した

半年たって、車の運転を再開した。怖さは、なかった。緊張も、ほとんどなかった。それが、今思うと一番おかしかった。ハンドルを握って、エンジンをかけて、普通に走り出した。信号も、標識も、見えていた。だから、大丈夫だと思った。でも、大丈夫じゃなかっ...
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2-21 電車で、ブリスベンへ

大切な友人に会いに行くためだった。別の大切な友人と、電車に乗った。運転は、まだできない。でも、切符だけは先に買っていた。GO CARD。それが、少しうれしかった。電車の中は、情報が多い。人の流れ。アナウンス。窓の外の速さ。全部を追うと疲れる...
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2-20 芋が、手をつないでくれていた

外を歩くとき、芋は手をつないでくれていた。言葉はなかった。「大丈夫?」とも聞かなかった。ただ、手がそこにあった。私は、まだ自分の感覚を信用できていなかった。ふらつくかもしれない。急に疲れるかもしれない。でも、手をつながれている間は、考えなく...
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2-19 大切な友人が、毎日散歩に付き合ってくれた

退院してから、外を歩くようになった。一人ではなかった。大切な友人が、毎日付き合ってくれた。時間は、だいたい朝8時ごろ。私は、ボートに住んでいる。芋が、ゴムボートで桟橋まで送ってくれていた。エンジンの音。朝の空気。水面の光。短い移動だった。桟...
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1-18 芋は、退院を喜ばなかった

私は、退院できると聞いた。もう大丈夫だと思った。全部、理解していて、できているつもりだった。でも、芋は喜ばなかった。安心した顔も、達成感も、なかった。むしろ、慎重だった。「まだ早い」という空気が、はっきりあった。私は、なぜだか分からなかった...
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1-17 少しずつ、理解が追いついた

全部、理解していて、できているつもりだった。泣いたあと、世界が急に変わったわけじゃない。でも、少しだけ、つながり始めた。自分がどこにいて、何をしていて、なぜ守られているのか。全部じゃない。一部だけ。説明を聞いても、すぐには入ってこない。でも...
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1-16 泣いた日

ある日、突然、感情だけが追いついた。理由は、はっきりしている。母と姉が、私の死に目に会いに来ていたことを、覚えていなかった。事実は、もう知っていた。でも、理解と感情が、同時に来ていなかった。その日、それが一気に来た。思い出せない。顔も、声も...
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1-15 毎日、同じことを聞かれた

毎日、同じことを聞かれた。名前。生年月日。なぜ、ここにいるのか。答えは、分かっているはずなのに、口から出すたびに少しずつ違った。昨日も、同じ質問をされた気がする。でも、「昨日」が本当に昨日なのかは分からない。正解かどうかより、答え続けること...
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1-14 いつ移動したのか分からない

Gold Coast Hospitalに移っていた。それを、私は後から知った。いつ移動したのかは、覚えていない。その日の記憶も、移動の記憶も、ない。「今日からここだよ」と言われたのかも分からない。気づいたら、場所が変わっていた。病院の空気が...