友の会

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友の会|十話|正直、嫌だった

家事家計講習会は、子どもながらに大変そうだなと思って見ていた。夜な夜な資料を作って、当番が回ってきて、人前で話す。そりゃ、楽そうには見えない。それ以上に、正直に言うと――姉も私も、長いこと友の会が嫌だった。地味。目立たない。なんか宗教っぽい...
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友の会|九話|教える側に立つと、前提が固定される

家事家計講習会で、当番が回ってくる。資料を作り、内容を組み、人前で話す。ここで起きていた変化は、能力が上がったことじゃない。前提が固定されたということだ。教える側に立つと、曖昧なままでは通らない。・なぜこれをやるのか・どこから始めるのか・順...
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友の会|八話|今なら、ずいぶん楽だと思う

今なら、資料作成はAIでできる。プロジェクターもある。配布資料だって、簡単に整う。正直、現代は楽だ。手で書く必要もない。夜な夜な大きな画用紙に文字を書く必要もない。でも、楽になったのは道具だけだ。当時、母がやっていたのは、・何を伝えるか決め...
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友の会|七話|家計簿と、当番の夜

次に思い出されるのが、家計簿と、そろばん。それから、家事家計講習会。講習会の当番が回ってくると、家の空気が変わった。夜な夜な、大きな画用紙を広げて、文字を書いていた気がする。何を書いていたんだろう。家計の流れ。考え方。伝える順番。当番になる...
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友の会|六話|週に一度、戻る場所

次に強く残っている記憶は、派手な出来事じゃない。週に一度の、最寄り会。決まった曜日。決まった時間。顔ぶれは、毎回少しずつ違う。でも、流れは同じだった。机の上に並ぶ資料。読み込まれた羽仁もと子全集。ページをめくる音。書き込みの跡。誰かが上手に...
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友の会|五話|同じ前提でも、感じ方は分かれた

ここで、少し面白いことが起きている。母が全国を渡り歩けたのは、友の会の存在が大きかったのは確かだと思う。どこに行っても、生活の前提が通じる場所があった。私と姉は、同じ前提で育っている。生活が回ること。段取りがあること。迷わなくていいこと。そ...
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友の会|四話|どこに行っても、ブレなかった理由

我が家は、転勤族だった。函館。横浜。旭川。広島。長崎。筑波。仙台。新潟。これだけ、場所を変えて歩いている。環境が変われば、生活は簡単に崩れる。土地勘がない。知り合いもいない。勝手も分からない。普通なら、不安が先に立つ。でも、母はブレなかった...
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友の会|三話|フラットだった場所

生活団は、横浜にあった。そこで関わっていた友の会の委員は、今思えば医者の妻、大学教授の妻、そういう人たちが多かった。いわゆる「そっち側」の妻たちだ。その中で、庶民妻の枠を独占していたのが母だった。事実だけ置くと、そうなる。でも、差別された記...
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友の会|二話|異例中の異例だったという話

今思えば、これはかなり珍しい条件だった。40年以上前、母はすでに友の会に所属していた。当時としては、異例中の異例だ。母の周りで、同じように入っている人はほとんどいなかったと思う。少なくとも、それが当たり前な環境ではなかった。友の会は、誰でも...
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友の会|一話|それが特別だと、後から知った

あの頃の私は、自分の生活が特別だと思ったことがなかった。寒風摩擦も、生活団も、決まった流れも。ただの「日常」だった。周りの子たちは、みんな幼稚園に通っていた。私は、行っていない。幼稚園の話を聞いたとき、初めて「同じ年でも、過ごしている場所が...