ボート暮らしは劣等か資産か|家族の“経験密度”という答え【第5話】

正直に言えば、

ボート暮らしに引け目を感じる瞬間はある。

普通の家じゃない。

庭もない。

住所だって説明がいる。

子どもたちはどう思っているだろう、と考えることもある。


でも朝を見る。

登校前。

父がウォータースキーで水を切る。

カイトがそれを見て学ぶ。

アルビーが転びながら追いかける。

私はボートの上から眺めている。

この時間を、

家の広さで買えるか?

無理だ。


資産には種類がある。

預金。
不動産。
株式。

でももう一つある。

経験資産。

思い出の密度。

「あの朝さ」と言える記憶。

10年後、

多分家の広さは思い出さない。

でも水面の光は覚えている。

父の声は覚えている。

転んだ悔しさも、立てた瞬間も覚えている。


劣等か資産か。

外から見れば、変わった暮らし。

でも内側から見れば、

濃い。

圧倒的に濃い。

私は滑れない。

でもこの朝の空気を一番覚えている。

それも資産だ。


家族は、

同じ屋根で育つんじゃない。

同じ時間で育つ。

このシリーズは⑤-家族・人間関係の前提にまとめていく。

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