友の会|六話|週に一度、戻る場所


次に強く残っている記憶は、
派手な出来事じゃない。

週に一度の、最寄り会。


決まった曜日。
決まった時間。
顔ぶれは、毎回少しずつ違う。

でも、
流れは同じだった。


机の上に並ぶ資料。
読み込まれた
羽仁もと子全集。

ページをめくる音。
書き込みの跡。

誰かが上手に話すわけでも、
感情を語るわけでもない。


讃美歌の練習は、家でしていた。

声を出す。
外さない。
揃える。


母は、
クリスチャンではない。

信仰としてやっていたわけじゃない。


型として、
生活の中に置かれていた。


週に一度、
最寄り会に行く。

家では、
また淡々と
同じことを続ける。


ここでも、
評価はない。

称賛もない。
反省会もない。


続けること
それ自体が、
前提だった。


今思えば、
あれは集まりじゃない。

生活を、
定期的に整え直す仕組み

だった。


忙しくても。
環境が変わっても。
土地が変わっても。

一度、
そこに戻る。


「大丈夫?」と
言われなくても、
戻る型がある。

それだけで、
生活は歪まなかった。


当時の私は、
それを特別だと思っていない。

ただ、
そういうもの
だと思っていた。


今になって分かる。

あの
週一回と、
家での繰り返しが、

どれだけ
生活の芯を
保っていたか。


(つづく)

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