1-9 ICUの空白

ICUに
4日か5日
いたらしい。


正確な日数は、
分からない。


その間の記憶は、
まるごと無い。


夢も、
映像も、
断片すら
残っていない。


ただ、
後から
聞いた話がある。


親友が、
私の姉として
ICUに
入ってくれていた。


そして、
母と姉のために
一枚の説明文を
手書きで
書いてくれていた。


ICUとは何か。
今どういう状態なのか。
何ができて、
何ができないのか。


混乱しないように、
専門用語じゃなく、
感情でもなく、
分かる言葉で。


私は、
その場にいない。


でも、
その紙は
確かに
存在していた。


私の記憶がない時間に、
誰かが
私の人生を
守ってくれていた。


この期間は、
空白のままでいい。


でも、
空っぽじゃなかった。

English version (Short)

I was in ICU for several days.
I have no memory of that time.

No images. No fragments. Nothing recorded.

What I know came later.
Someone I trusted stepped in and explained everything clearly.

I wasn’t present —
but decisions were made to protect my life.

That time is blank,
but it wasn’t empty.

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