第4話|グレーゾーン

──壊れきっていない人が、一番落ちる理由

貧困やホームレスの話になると、
多くの人は「一部の特別な人」の問題だと思いたがる。

重い精神疾患。
深刻な依存症。
完全な孤立。

けれど、実際に制度から落ちる人の多くは、
そこまで壊れていない。


彼らはこういう状態にいる。

  • 働けないほど壊れてはいない
  • でも、安定して働けるほど回復していない
  • 助けが必要だが、緊急扱いされない

この層を、ここではグレーゾーンと呼ぶ。


制度は、白と黒で作られている。

  • 働けるか/働けないか
  • 家族がいるか/いないか
  • 緊急か/そうでないか

その中間は、想定されていない。


日本では、グレーゾーンの人は
制度に入る前で止まる。

  • 家族が「いる」
  • 少しは働けそう
  • まだ完全には壊れていない

この時点で、
「もう少し頑張れる人」扱いになる。

結果、
支援を受けないまま、生活が縮む。


オーストラリアでは、逆だ。

グレーゾーンの人は
制度に一度は入る。

だが、
回復が遅いと時間切れで出される。

短期支援は、
グレーゾーンにとって短すぎる。


この層が一番危険なのは、理由がある。

  • 自分を「弱者」だと思えない
  • まだ何とかなると思ってしまう
  • 周囲からもそう見られる

だから、助けを求めるのが遅れる。


さらに、
このゾーンに多いのが

  • 女性
  • 母子家庭
  • DV・トラウマ経験者

子どもがいることで行動は制限され、
それでも「母だから頑張れるでしょ」と言われる。


グレーゾーンの人は、
守られていないのに、期待だけされる。

日本では、静かに消える。
オーストラリアでは、目に見える形で落ちる。

形が違うだけで、構造は同じだ。


制度が悪いわけではない。
市場が冷たいわけでもない。

問題は、
「回復に時間がかかる人」を前提にしていないこと


白か黒かで作られた制度の中で、
中間にいる人が一番すり減る。

それが、
グレーゾーンの正体だ。


次で最後の話をする。
なぜ私は助かり、
なぜ助からない人がいるのか。

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