第2話|家計簿の本当の意味
羽仁もと子の話になると、必ず出てくるのが家計簿。
でも日本では、この言葉の意味がかなり軽く扱われている気がする。
多くの人が思い浮かべるのはこれ。
支出を記録するノート。
節約するための記録。
でも羽仁もと子が作った家計簿は、そういうものじゃなかった。
本質はもっとシンプルで、もっと構造的。
生活を設計する仕組みだった。
家庭をシステムとして見る
羽仁もと子は、家庭を「なんとなく」で回すものだとは考えていなかった。
むしろ逆。
家庭こそ、意識して設計する必要があると考えていた。
その構造はこう。
収入
↓
予算
↓
生活
↓
振り返り
今の言葉で言えば
Plan → Do → Check
企業経営で使われるサイクルとほぼ同じ。
100年以上前に、この考え方を家庭の中に持ち込んでいた。
記録ではなく「順番」
今の家計管理は、だいたいこうなっている。
生活する
↓
お金を使う
↓
あとで振り返る
つまり
記録中心。
でも羽仁もと子の家計簿は違う。
順番が決まっている。
収入
↓
予算
↓
生活
まず設計。
それから生活。
つまり
先に考えてから使う
という仕組みだった。
生活の中にある金融教育
羽仁もと子の考え方で面白いのは、金融教育の出発点。
彼女は投資の話から始めない。
彼女が見ていたのは
食べること
住むこと
子どもの教育
日々の暮らし
つまり
生活そのもの。
生活の中に、お金の使い方はすべて含まれている。
だから生活を整えることが、結果的にお金を整えることになる。
家計簿の本当の役割
羽仁もと子の家計簿は
節約ツールではない。
管理ツールでもない。
もっと本質的には
気づくための道具
だった。
自分たちは何にお金を使っているのか。
生活はどこに向かっているのか。
それを見える形にする。
家計簿は、数字の記録というより
生活の鏡
だった。
なぜこの仕組みが広がったのか
羽仁もと子の思想は
婦人之友を通して多くの家庭に広がった。
読者はただ読むだけではなく、
実際に生活の中で試してみる。
家計簿をつける。
生活を見直す。
また振り返る。
この繰り返しの中で、家庭の生活が少しずつ整っていく。
金融教育という言葉はまだ存在していなかった。
でも実際には
生活の中でお金を学ぶ仕組み
がすでに作られていた。
このシリーズはお金の前提にまとめていきます。


コメント