複利シリーズ|第2話

なぜ人は複利を理解できないのか ― 脳は直線で考える

複利が難しいのは、計算ではない。

動き方が直感と逆だから。

人間の脳は、未来を「直線」で予測する。

毎年5%増えると言われると、

「毎年ちょっとずつ増えるんだよね」

と考える。

足し算のイメージ。


でも複利は足し算ではない。

掛け算。
しかも“指数”。

100万円を年利5%で運用するとする。

1年目:105万円
2年目:110.25万円
3年目:115.76万円

これは

100 × 1.05 × 1.05 × 1.05

と毎年“増えた金額”にまた5%をかけている。

ここが直線ではなく、指数。


指数の世界はこう動く。

最初はほとんど変わらない。
途中も大きくは伸びない。
最後に急に跳ねる。

雪玉が小さいうちは、増え方も小さい。

でも大きくなると、同じ割合でも増える量が急に大きくなる。

100の5%は5。
1000の5%は50。

率は同じ。
でも増え方が違う。


有名な例がある。

水草が毎日2倍に増え、30日で池を覆い尽くす。

半分になるのは何日目か。

正解は29日目。

指数の世界では、
「ほぼ最後まで変化が見えない」。

だから人は途中でやめる。


投資も同じ。

最初の5年は地味。
10年でも思ったより増えない。

でも15年、20年を超えると加速する。

それなのに多くの人は10年以内に離脱する。

理由はシンプル。

「思ったより増えない」から。


さらに厄介なのは、脳は“今”を優先すること。

今日の5万円はリアル。
30年後の500万円は抽象。

だから配当を使う。
だから途中で売る。
だから積立を止める。

複利を壊す行動は、本能的。


だから複利は、理解力の問題ではない。

直感と戦うゲーム。

勝つ方法はひとつ。

脳を信用しない設計をつくること。

自動積立。
再投資設定。
命金の確保。
売らない構造。

感情ではなく、仕組み。


複利は優しくない。

すぐ結果が欲しい人を排除する。

でも時間を味方につけた人には、圧倒的に優しい。

次回は、

利益を使わないという覚悟。

ここが分岐点になる。

コメント