第4話|アンテナを下ろすという決断

私は昔、見えていた。

風も、距離も、他船の動きも。

ボートの実務を任されていたからだ。

アンテナは常時オンだった。

脳出血後、私は決めた。

もうやらない。

子どもたちと芋に任せる。

その瞬間から、

私はアンテナを下ろした。


能力は「役割依存」

人はよく言う。

「衰えた」

でも本当にそうか?

脳は合理的だ。

使う回路は強くなる。
使わない回路は静かになる。

私は即応回路を使わなくなった。

だから見えなくなった。

それは劣化ではない。

役割移行。


責任と感度は比例する

責任を持っている領域は、

自然と感度が上がる。

・子どもの小さな変化
・お金の流れ
・文章の違和感

今の私はそこに敏感だ。

でも海の微差には鈍い。

当然だ。

担当外だから。


生存設計という視点

家族というチームは、

全員が全方向にアンテナを張る必要はない。

むしろ、

分担した方が強い。

外界担当。
構造担当。
実務担当。
長期設計担当。

役割が重なりすぎると摩擦が起きる。

手放すことは、弱さではない。

最適配置。


今日の前提

見えなくなったのではない。

見る場所を変えた。

アンテナを下ろす決断もまた、
生存設計の一部だ。

この話は⑩-生存設計の前提|ボート生活にまとめていきます。

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