父の未完の夢はなぜ継承になるのか|プロを目指した男の現在地【第3話】

芋の時代、主役はウェイクボードではなかった。

ウォータースキーだ。

一本板で水を切る。

しかも芋は、裸足でもできる。

あれは簡単じゃない。

水面はコンクリートみたいな硬さになる。

スピードも出る。

身体がブレたら即転倒。

それをやる。

若い頃、プロを目指していた。

本気だった。

でも人生は競技だけじゃない。

仕事。
家族。
時間。

夢は止まった。

でも消えてはいない。

今も水面に立つと、身体が覚えている。

滑りは静かで、無駄がない。

息子たちがそれを見る。

言葉より先に、背中を見る。

これが継承だ。

押し付けない。

焦らない。

適齢期まで待つ。

自分はただ、楽しそうに滑る。

その姿が、一番強い。

未完の夢は失敗じゃない。

形を変えて、流れ続けているだけだ。

私は横で見ている。

そして思う。

スゲエな。

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