政治を語らない政治の話|第2話

熱量が違う人

彼女の熱は、
正直、異常値だった。

選挙が近づくと、
空気が変わる。

政策を語る。
候補者を比較する。
経済の影響を読む。

そして宗教の話になると、
さらに深くなる。

政治と宗教。

どちらも、
人の生き方を決めるもの。

私はその熱量に、
圧倒された。

少し怖いとさえ思った。


でも今なら分かる。

政治も宗教も、
彼女にとっては「支柱」だった。

結婚もしていない。

子どももいない。

十年、ひとりで両親を看取った。

頼れるのは
制度と信念。

その二つしかなかったのかもしれない。


政治は制度。

宗教は意味。

制度は生活を支え、
宗教は心を支える。

どちらも揺れたら、
立っていられない。

だから熱くなる。

異常なのではなく、
必死だったのだと思う。


私はそこまで追い込まれていない。

だから
政治を遠ざけられる。

でも彼女は違った。

制度と信念の両方に
支えられて生きていた。


政治を語らない。

でも
制度の力を甘く見ない。

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