第1話|13歳、はじめて「仕事の信用」が揺れた日

次男(13歳)が、チラシ配りの仕事をしている。
いわゆるポスティングだ。

歩いて、配って、終わったらお金が振り込まれる。
とても単純で、でも立派な「仕事」。

ここまで、
次男は一度もクレームをもらったことがなかった
毎回きちんと配り、
トラブルもなく、
不動産会社との関係は良好だった。

その日、次男は友達に少し手伝ってもらった。
この判断自体が、今回の直接の問題ではない。

問題はその後だった。

配布中、チラシが20枚ほど道に落ちていたらしい。
落としたのか、捨てたのかは分からない。
ただ、次男はそれを見て
「友達が拾うだろう」と判断し、素通りした。

結果として、そのチラシは路上に残った。

後日。
仕事の報酬が、振り込まれなかった。

不思議に思い、こちらからメールで確認したところ、
不動産会社から返ってきたのは、こんな内容だった。

今まで一度も問題がなかったので、
もしかして今回はお友達に手伝ってもらいましたか?

そのうえで、
住民が路上に落ちていたチラシを拾い、
不動産会社に苦情の電話を入れてきたことが伝えられていた。

ここが重要な点だ。

不動産会社は、
最初から疑っていたわけではない。

これまで問題がなかったからこそ、
「何か普段と違うことがあったのでは」と確認してきた。

つまり、
次男にはすでに
「信用の履歴」があった、ということ。

私は事実をそのまま返信した。

・友達に手伝ってもらったこと
・ただし、次回からはアルビー一人でさせると話したこと

言い訳はせず、
責任の所在を曖昧にもせず、
対応だけを伝えた。

相手からの返事は
「分かりました」。

その後、報酬は無事に振り込まれた。
クビとは言われていない。
ただ、次の仕事があるかどうかは分からない。

今回の件は、
「一発アウト」ではなかった。

それは、
これまで積み重ねてきた信用が、
確かに存在していたからだ。

でも同時に、
信用は一瞬で揺れることも、
13歳で体験することになった。

この一件を、家族で共有した。
私は怒らなかった。
夫は怒った。
次男はかなり厳しく言われたはずだ。
結果として、iPadと携帯は1週間禁止になった。

これは失敗だろうか。

私は、そうは思っていない。

むしろこれは、
「信用は積み上げ式で、
減るときは一瞬」ということを、
家庭の中で可視化できた出来事だった。

次の話では、
「悪気はなかった」が
なぜ仕事では意味を持たないのか。
そのズレについて書く。

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