あの頃の我が家は、
本当に荒れていた。
小さなズレが
毎日のように積み重なり、
言葉は荒くなり、
空気は重くなり、
怒鳴り合いも増えた。
価値観の違い。
前提の違い。
分かり合えなさ。
その全部が、
一気に噴き出ていた。
あまりにムカついて、名前をつけた
ある日、
もう感情の処理が追いつかなくなった。
ムカつきすぎて、
頭の中で
名前をつけた。
たしか、最初は
「混乱オージークソ芋野郎」
だったと思う。
今書いてもひどい。
でも当時の私には、
それくらいの強度が必要だった。
名前は、削られていく
ただ、この名前、
長すぎる。
怒りはあるのに、
使いづらい。
だから削った。
混乱 → 削除
オージー → まあ事実だけど削除
クソ → 強すぎるので削除
野郎 → どうでもいい
最終的に残ったのが、
芋。
意味は、ない。
深い由来も、ない。
ただ、
感情が落ち着く。
名前をつけると、少し距離ができる
不思議なもので、
名前をつけた瞬間から
少しだけ距離ができた。
怒鳴る代わりに、
心の中で
「芋…」と思う。
すると、
一歩引ける。
感情と自分の間に、
余白ができる。
芋は、本人のための名前じゃない
大事なことを書く。
この名前は、
本人に向けたものじゃない。
私が壊れないための名前だ。
相手を貶すためでも、
支配するためでもない。
感情を
外にぶつけないための
内側の処理。
命名は、立派な自己防衛
人は、
言葉を持たないと
感情に飲み込まれる。
名前をつけることで、
対象は「感情」から「概念」になる。
私は、
この命名で
何度も救われた。
今でも、芋は芋
今も、
私の中で夫は芋だ。
本人は知らない。
今後も知らなくていい。
これは
家庭内の平和のための
非公式・命名式だから。
※この話は単発投稿です
(シリーズとは独立しています)


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