第1話|携帯しか使っていなかった私が、地獄に落ちた日

あの頃の私は、
携帯電話しか使っていなかった。

今思えば、
それがすべての始まりだった。

携帯で考える。
携帯でメモを書く。
携帯で下書きを作る。

私の中では、
完全に「作業」だった。

でも芋の世界では違う。

携帯電話=遊び。
携帯電話=暇。
携帯電話=何もしていない。

私が何をしていようと関係ない。
携帯を触っている時点で、
存在しない人になる。


「また携帯?」という一言で、すべてが無効化される

「また携帯?」

この一言で、
考えていたことも
書いていたことも
全部なかったことになる。

説明もした。

考えてる。
書いてる。
後でまとめる。

でも無理だった。

なぜならこれは、
内容の問題じゃない。

前提の問題だから。

芋の前提は、
携帯=娯楽。

この世界では、
携帯で仕事をする女は
最初から存在しない。

ここが、
地獄への入り口だった。


芋はデジタル弱者じゃない。ただOSが違う

ここで誤解してほしくない。

芋は、
デジタルが使えない人ではない。

オンラインショッピングもする。
Google検索もする。
Facebookも見る。

ただし、
自分のアカウントは持っていない。

Marketplaceも投稿も、
私のiPad
私のFacebook
私のアカウントで見る。

最近は
モトクロスバイク情報ばっかり
出てくるようになった。

……アルゴリズム、
しっかり仕事してる。

でも芋にとってFacebookは、
「自分が存在する場所」じゃない。

ただの
情報掲示板

デジタルは
・目的がある時だけ
・用が終わったら閉じる
そのための道具。

一方、私は違う。

デジタルは
思考の作業場。
文章の下書き場。
構造を組む場所。

ここ、
完全に文明が違う


携帯という時点で、私は最初から負けていた

芋の世界には、
「携帯で仕事をする」という概念がない。

だから私が携帯で
どれだけ真剣に考えていても、
芋の目にはこう映る。

「暇そう」
「また見てる」
「そんなに見る必要ある?」

悪意はない。
見下しもない。

ただ、
理解可能な前提が存在しない。

この状態で
分かり合おうとするのは、
無理ゲーだ。


この話は、夫婦喧嘩の話じゃない

これは
「携帯を触るな」でも
「理解してほしい」でもない。

前提が違う二人が、
同じ空間でどう生きるか

その話。

この時点では、
私はまだ気づいていなかった。

このあと、

  • ラップトップを買うことになる
  • プログラマー/ウェブデザイナーを名乗ることになる
  • 「AI girl」と呼ばれるようになる
  • そして投資で、完全に理解不能ゾーンに突入する

という未来を。

この話は、
そこまでの記録だ。


次回予告

第2話|揉めた翌日、私はラップトップを買った

分かり合うのをやめた日。
装備で世界が変わった話。


※この話は「前提」と「設計」のカテゴリにまとめてあります。

コメント