介護の地獄 第1話|それは、ある日突然始まらない

介護の地獄は、
ある日いきなり扉が開いて始まるわけじゃない。

むしろ逆だ。

少し手伝うだけ。
今だけ。
家族だから。
他に誰もいないから。

そうやって、
静かに、確実に、逃げ道を塞がれていく。

気づいたときには、
もう「やめる」という選択肢が消えている。


最初は、誰も壊れていない。

体力もある。
気力もある。
「私がやらなきゃ」という責任感もある。

周りからは言われる。

えらいね
親孝行だね
愛があるね

でもね、
この言葉たちが
一番危ない前兆だった。


介護は、
「がんばれる人」がやるものじゃない。

「がんばれてしまう人」から
壊れていく。

一人で抱えられてしまう人ほど、
外からは問題が見えなくなる。

だから誰も止めない。
止められない。


この時点では、
まだ地獄じゃない。

でも、
地獄行きのレールには、もう乗っている。

・交代要員がいない
・期限が決まっていない
・役割分担が存在しない
・「もし自分が倒れたら」の想定がない

このどれか一つでも欠けていたら、
介護は必ず歪む。


多くの人はここで勘違いする。

「愛があれば乗り越えられる」
「覚悟を決めれば何とかなる」

違う。

介護は、愛と覚悟だけでやると必ず破綻する。

これは根性論じゃない。
構造の問題だ。


私はこのあと、
「やってはいけない介護」を
全部やることになる。

・一人で抱え
・助けを断り
・本人の希望を最優先にし
・限界を限界と認めず
・壊れるまで止まらなかった

それが、
美談として褒められながら。


このシリーズでは、
感動話は書かない。

救われた話もしない。

書くのはただ一つ。

どうやって、人は静かに壊されていくのか。
そして
どうすれば、そこから降りられたのか。

これは、
誰かを責める話じゃない。

未来の誰かが、
同じレールに乗らないための
注意書きだ。


次の話では、
なぜ「一人で抱える介護」が
最初から破綻しているのかを
構造で書く。

優しさが、
なぜ人を追い詰めるのか。

そこを、はっきりさせる。


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