第1話|年収200万という現実

55歳、日本人男性。
独身。
大学院卒。
非正規雇用が長く、解雇を繰り返し、
今は日給8,000円のアルバイト。

年収は、200万円

ニュースでこの数字を見た瞬間、
言葉が出なかった。

「やばい」とか
「きつい」とか
そういう感想ですら、軽く感じた。


年収200万円。

月に直すと、
税引き前で約16〜17万円。
手取りは13〜14万円ほど。

家賃を払ったら、ほぼ終わる。
病気をしたら、即アウト。
貯金も老後も、語る余地がない。

しかも55歳。

怖いのは、
“将来が不安”なのではなく、
“すでに今が限界”
なところ。


ここでよく出てくる言葉がある。

「自己責任」
「努力不足」
「選択ミス」

でも、このケースを
それだけで説明できるだろうか。

大学院まで進み、
長年働き、
犯罪を犯したわけでもなく、
怠けていたわけでもない。

それでも、
ここに来てしまう。


この話が重いのは、
特別な失敗談じゃないから。

日本の社会構造の中で、
“普通に起きうる結末” だからだ。

年齢。
雇用の前提。
非正規という立場。
独身という属性。
そして、年収200万という数字。

全部が重なった結果、
静かに、逃げ場がなくなっていく。


これは、同情の話じゃない。
美談でも、根性論でもない。

ただの現実だ。

そしてこの現実は、
「見なかったこと」にされがちだ。

でも、
見なかったことにしている間に、
同じ構造の中にいる人は、確実に増えている。


このシリーズでは、
この55歳男性を責めない。

同時に、
救済ストーリーも描かない。

ただ、
何が起きているのか
一つずつ、言葉にしていく。

重い話になると思う。
でも、
軽く扱っていい話じゃない。

(つづく)



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