脳出血は、完全なバトンタッチだった
私が脳出血を起こしたとき、
最初はただ
「大変なことが起きた」
それだけだった。
病名は重いし、
回復には時間がかかるし、
生活も一変した。
でも少し時間が経ってから、
はっきり分かったことがある。
これは
不運な出来事というより、
完全なバトンタッチだった。
あの出来事がなければ、
私は前線から降りられなかったと思う。
責任感も、
「私がやらなきゃ」という癖も、
あまりに強すぎた。
自分の意思で
役割を手放すことが
できなかった。
でも、
体が止まった。
強制的に。
その瞬間から、
家の中の配置が
一気に変わった。
芋が前に出た。
判断する人になった。
責任を引き受ける側に立った。
カイトは、
守られる子どもから
見られる側の存在になった。
私は、
回す人でも
決める人でもなくなった。
最初は不安がなかったわけじゃない。
でも、
ちゃんと回っているのを見て
思った。
「あ、もう渡せてたんだな」
脳出血は、
私から何かを奪った出来事じゃない。
役割を終わらせ、
次の人に確実に渡すための
合図だった。
だから今、
後悔もないし、
未練もない。
正直に言えば、
やりきった感がある。
途中で倒れた感覚も、
逃げた感覚もない。
ちゃんと
ここまで連れてきて、
ちゃんと渡して、
止まった。
だから今は、
静かでいられる。
何かを取り戻そうと
しなくていい。
何者かに
なり直さなくていい。
私はただ、
次のフェーズに
移っただけ。
脳出血は
終わりじゃなくて、
区切りだった。
そう思えるようになった今、
私はやっと
自分の人生を
自分の速度で
歩けている。
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