勉強が不得意な子への声かけ|第6話

「質問できない大人」は、こうして作られる

あの塾の一件のあと、
私の中で一つの変化が起きた。

分からないことを、人に聞かなくなった。

正確に言うと、
「聞いてはいけないもの」だと
どこかで思うようになった。


分からない。
→ 手を挙げる。
→ 晒される。
→ 笑われる。

この一連の流れが、
一度で身体に刻まれた。

それ以降、
質問は「助けを求める行為」ではなく、
危険な行為になった。


これは、
勉強の話だけじゃない。

  • 手続き
  • 契約
  • 数字
  • 制度
  • 専門用語

分からなくても、
聞かない。

分かったふりをする。
自分で何とかしようとする。
そして、
一人で抱える。


大人になってから気づいた。

これは
性格じゃない。
根性でもない。

学習された回避だ。

「分からないと言うと、
嫌なことが起きる」

この記憶があると、
人は自然に避ける。


質問できない大人は、
怠け者じゃない。

むしろ逆だ。

  • 自分で調べる
  • 一人で抱える
  • 失敗しても黙る

限界まで我慢する。

だから周りからは、
「問題なさそう」に見える。

でも内側では、
判断力と自信が
少しずつ削れていく。


もし、
あの時の塾で
こんな環境だったら。

  • 分からないと言っても安全
  • 間違えても遮られない
  • 途中で止めてもいい

それだけで、
結果は違ったと思う。

理解できたかどうかより、
信頼が壊れなかったかどうか

そこが分かれ道だった。


この話は、
過去を責めるためじゃない。

今、
子どもに関わる立場の人が
知っておいてほしいこと。

一度壊れた「質問していい感覚」は、
取り戻すのに何年もかかる。

だからこそ、
壊さないことの方が
ずっと大事だ。


次回は、
あの体験が、その後の私の選択にどう影響したか。

勉強から離れた話に見えて、
実は全部つながっている。


#教育 #質問できない #学習トラウマ #高校生 #声かけ

※この話は「教育」カテゴリーにまとめてあります。

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