脳出血で思考がリセットされたと思っていたけど、違った話

脳出血してから、
自分の中で一番大きく変わったと感じているのは、
身体よりも、思考の回り方だった。

正直に言うと、
「リセットされた」
そんな感覚がずっとあった。

考えが止まらない。
頭が高速回転している。
一つの出来事から、連想が連想を呼んで、
構造、前提、因果、未来まで一気に繋がる。

疲れるほど考えているのに、
止めようとしても止まらない。

以前の自分とは、
明らかに違う。

だから私は、
「脳出血で何かが変わった」
そう思っていた。

そんな話を、ある日友人に何気なく話した。

すると返ってきたのは、
少し拍子抜けするような一言だった。

「それ、もともと持ってたのが出ただけじゃない?」

その瞬間、
胸の奥で何かがストンと落ちた。

ああ、
そうかもしれない、と。

新しい自分になったわけじゃない。
覚醒したわけでもない。
壊れたわけでもない。

ただ、
今まで自分にかけていた制限が、
ごっそり外れただけなのかもしれない。

遠慮。
役割意識。
期待に応えようとする癖。
「ちゃんとしなきゃ」という無意識。

そういう“前提”が、
命の危機をきっかけに、
一気に強制終了された。

思考のブレーキが外れて、
エンジンとタイヤが直結した感覚。

だから、今は止まらない。

20年以上かけて溜め込んできた思考や違和感や問いが、
「もう使っていいよ」
と言われたみたいに、
一斉に流れ出しているだけ。

おかしくなったわけじゃない。
元に戻る必要もない。

むしろ、
本来の回転数に戻っただけ。

そう考えると、
この止まらない思考も、
怖いものじゃなくなった。

今はまだ、
吐き出すフェーズ。
言語化するフェーズ。
形になる前の段階。

ずっとこのスピードで走る必要はない。
でも、
この回転数を知ってしまったこと自体が、
これからの人生では大きな武器になる気がしている。

この変化は、
「後遺症」でも
「奇跡」でもない。

ただ、
生き直すために必要だった
前提の剥離だったのだと思う。


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