夫婦がバチバチしていた頃のこと
15歳の君へ。
お母さんとお父さんが
ぶつかっていた時期があったよね。
声が強くなった日。
空気が重くなった日。
君はきっと、全部見ていた。
子どもは、思っているより
空気を読む。
あの頃の君に、まずは言う。
ごめん。
でも今日は、謝るためだけに書いていない。
あの時間は、
ただの失敗ではなかったから。
お母さんたちは未熟だった。
親になる準備も、
夫婦でいる準備も、
完璧じゃなかった。
余裕がなくて、
自分の限界で精一杯で、
守るべき人の前で
ぶつかる姿を見せてしまった。
それは事実。
でもね、
夫婦が壊れるときは、
必ずしも“ぶつかったとき”じゃない。
本当に終わるのは、
無関心になったとき。
何も言わなくなったとき。
バチバチしていたのは、
まだ向き合っていたから。
未熟だったけど、
投げてはいなかった。
それが、今の私の前提。
脳出血の直前、
お母さんとお父さんは
違う方向を向きかけていた。
静かに終わりかけていた。
でも、壊れきる前に
強制再起動がかかった。
あの出来事で分かったことがある。
人は完全には変わらない。
でも、
責任を持つ方向には変われる。
関係の向きは変えられる。
君が将来、
誰かとぶつかることがあってもいい。
ぶつかる=失敗じゃない。
大事なのは、
逃げるか、残るか。
壊すか、更新するか。
お母さんは、
未熟なまま更新してきた。
完璧じゃないけど、
止まらなかった。
それが、君に渡したい前提。
あの頃の君に、
安心を渡せなかったことは謝る。
でも、
あの時間は無駄じゃなかった。
私たちは、
バチバチの先で、
少しずつアップデートしてきた。
そして今も、
電源は抜いていない。


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