ある日、
病院の中を
歩いていた。
どこへ行くつもりだったのかは、
分からない。
用事も、
目的地も、
はっきりしない。
気づいたら、
自分がどこにいるのか
分からなくなっていた。
廊下は続いているのに、
位置関係が
頭に入らない。
戻ろうとしても、
戻れない。
焦りはない。
怖くもない。
ただ、
合っていない。
世界と、
自分の認識が
噛み合っていない感じ。
そのまま、
帰ろうとしていた。
どこへ帰るつもりだったのかは、
分からない。
家なのか、
病室なのか、
そもそも
帰っていい状態だったのかも
分からない。
帰りのリフトの中で、
芋と子どもたちに
ばったり会った。
芋は、
驚いたような、
呆れたような顔をして、
怒った。
私は、
なぜ怒られているのかが
分からなかった。
後から考えると、
その頃はもう
リハビリ病棟に
移っていたはずだった。
本来なら、
ピンコードを入れて
セキュリティを
アンロックしないと、
病棟からは出られない。
それなのに、
私は
外に出ていた。
どうやって
出たのかは、
覚えていない。
その後、
私は
バックパックを背負って
病棟を出ようとしていた。
日曜日に、
病院の外にある
フィジオの予約が
入っていると
思い込んでいた。
ナースステーションで
止められた。
「どこ行くの?」
そう聞かれて、
私は
フィジオに行く、
と答えた。
でも、
フィジオは
病院の中にある。
外に出る理由は、
どこにもない。
明らかに、
おかしかった。
私は、
自信を持って
間違っていた。
この日の私は、
自分の予定と、
自分の場所と、
自分の状態を
正確に把握できていなかった。
それを、
周りの方が
何度も
止めてくれていた。
English version (Short)
I was walking through the hospital,
without knowing where I was going.
I wasn’t scared.
I was simply wrong.
I was confident — and incorrect.
About my location, my plans, my condition.
Others stopped me repeatedly.
They understood what I couldn’t yet see.


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