第4話|慣れたんじゃない。選べるようになった

よく言われる。
「慣れたんでしょ?」

海外で長く暮らして、
差別っぽいものに
反応しなくなったと言うと、
そう聞かれる。

でも、違う。

慣れたんじゃない。
選べるようになっただけ。


昔は、
全部拾っていた。

違和感も、
雑な言葉も、
微妙な態度も。

拾って、
考えて、
飲み込んで、
疲れていた。

今思えば、
あれは
差別に強かったわけじゃない。

境界線が、まだ引けていなかった
だけだ。


今は、
瞬間的に分かる。

これは
・相手の無知
・相手の悪意
・相手の問題

どれかだ、と。

そして同時に決める。

これは拾う。
これは拾わない。
これは関わらない。

感情より先に、
判断が来る


怒らなくなった。
説明しなくなった。
戦わなくなった。

だからといって、
負けたわけでも、
諦めたわけでもない。

ただ、
自分の時間と気力を
どこに使うかを
選んでいるだけ。


差別に
正解の対応なんてない。

声を上げる日もあれば、
無視する日もあっていい。

距離を取るのも、
立派な対処だ。

大事なのは、
自分が主導権を持っているか


慣れた、という言葉は、
少し乱暴だと思っている。

慣れる、というのは
感覚が鈍ること。

私がやってきたのは、
鈍ることじゃない。

選択肢を増やしただけ


拾わない力。
関わらない力。
引き返す力。

それは
海外で生きる中で
身につけた
現実的な技術だ。


差別は、
これからも
たぶん、なくならない。

でも私はもう、
差別に
自分の感情のハンドルを
握らせない。

選ぶのは、
いつも私。

※この話は、「差別」カテゴリにまとめています。

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#エネルギー配分
#前提の外に出た話

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