(※離婚の文字が頭をよぎった)
前日の夜、
それはもう
大喧嘩だった。
声を荒げ、
言葉が強くなり、
怒鳴り合い。
内容は些細だったと思う。
でも感情は、些細じゃなかった。
「また携帯?」
「それ仕事なの?」
その一言に、
私は一気に持っていかれた。
「何もしてない」と言われた瞬間
私は、
何もしていなかったわけじゃない。
考えていた。
書いていた。
整理していた。
でも、
携帯を触っているというだけで、
全部「無」にされた。
「ずっとそれ見てるよね」
「そんなに必要?」
その言葉が、
人格否定みたいに刺さった。
この夜、初めて浮かんだ言葉
その夜、
私は本気で思った。
この人とは、
もう無理かもしれない。
価値観が違うとか、
分かり合えないとか、
そういうレベルじゃない。
存在を、
認識されていない。
同じ家にいて、
同じ時間を過ごしているのに、
私は「何もしていない人」扱い。
この夜、
ずっと前から片隅にあった
「離婚」という言葉が、
初めて言葉として浮かんだ。
翌日、私はラップトップを買った
翌日、
私は何も言わずに外に出た。
そして、
ラップトップを買った。
仕事が決まっていたわけじゃない。
でも、分かっていた。
これは能力の問題じゃない。
見た目の問題だ。
家に戻って、
ラップトップを開く。
それだけで、
空気が変わった。
突っ込まれない。
何も言われない。
画面が大きいだけで、
「仕事」になる。
ここで初めて分かったこと
分かり合えなかったんじゃない。
前提が違っただけ。
携帯=遊び
ラップトップ=仕事
中身じゃない。
努力でもない。
分類の問題だった。
私はこの日、
理解を求めるのをやめた。
説明も、
説得も、
やめた。
装備を変えた。
次回予告
第3話|プログラマー/ウェブデザイナーという沈黙装置
説明しないために、
私は肩書きを手に入れた。
※この話は「⑤ 家族・人間関係の前提」にまとめています。


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