【第2話】癒しの工程

世界はサカサマ!

――癒しの工程は、事実から始まった

正直に言うと、
そのチャンネルの主と
私は同じ状態ではなかった。

向こうは片麻痺がある。
私は、そこまでの麻痺は残っていない。

症状も、
生活の制限も、
見た目の回復度も、
違う。

だから
「私と同じ」だとは思っていない。


それでも、
画面から目が離せなかった。

理由は、はっきりしている。

ただ、事実だけを発信していたから。

励ましもない。
希望もない。
前向きなまとめもない。

起きたことを、
起きた順に、
淡々と話しているだけ。

それが、
異様なほど刺さった。


倒れた当時の感覚。
視界の異変。
世界が信用できなくなる感じ。

それを
美談にも
学びにも
変えていなかった。

ただ
「そうだった」
と置いてある。

私は、
完全に釘付けだった。


今思えば、
藁をもつかむ思いだったんだと思う。

退院して、
当事者の発信がほとんど見つからない中で、

「これ、私だけじゃないよね?」
その一点だけを頼りに、
動画を探していた。

そして、
あの感覚が来た。

やっと見つけた。


同情じゃない。
医者の解説でもない。
専門家のまとめでもない。

当事者が、
自分で発信している。

それだけで、
価値があった。

症状が違っても関係なかった。
回復の形が違っても問題なかった。

大事だったのは、
「誰かが代弁している」んじゃなくて、
本人の言葉だったこと。


世界はサカサマ!
を見ていた時間、
私は共感していたというより、
確認していた。

「この感覚、
おかしくない」

それを確かめるために、
見続けていた。


この体験が、
今の私の発信姿勢を
はっきり決めている。

私は、
癒そうとしない。
導こうとしない。
前向きにさせようとしない。

事実だけを置く。

それで十分だと、
あの時、知ったから。


「やっと見つけた!!!!」

あの感覚を、
私は今でもはっきり覚えている。

このシリーズは、
あの時の私に向けて
まず書いている。

誰かのためになるのは、
そのずっと後でいい。


#ヒーリング
#脳出血
#当事者の声
#事実だけ

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