1-1 戻れない場所に足を踏み入れた日

子どもたちの試合を見ていた。

室内のスケートパーク。

いつもと同じ場所で、いつもと同じ時間。

カイトのRunを見るために、アルビーと一緒に、少しだけ椅子を動かした。「こっちのほうが見やすいね」それくらいの気持ちだった。

椅子を置いて、座った。その瞬間、強烈な目眩がきた。回る感じではない。暗くなるわけでもない。

視界が、ぐにゃっと歪んで、世界の輪郭が一気に崩れた。天と地の区別が、つかなくなる。

体が、椅子に収まらなかった。私は、床に転がった。

そして、嘔吐した。止まらず、何度も。吐くこと以外、何もできなかった。周りがどうなっていたのか、誰が何をしていたのか、分からない。

それでも、音だけは聞こえていた。人の声も、全部。

私は、アルビーの太ももに手を置いた。握るでもなく、支えるでもなく、ただ、そこに触れていた。私は言った。「マミー、ダメかも。」叫んでいない。取り乱してもいない。その時に起きている事実を、そのまま口に出しただけだった。

意識はある。周りも見えている。でも、今までと同じ場所にはもう戻れない。その感覚だけが、はっきり残っていた。

English version

I was watching my children compete.
A normal place. A normal moment.

I sat down — and knew immediately.
Something had crossed a point of no return.

I was conscious. I was aware.
But I also knew I wouldn’t return to “before.”

That certainty was clear.
There was no panic — only recognition.

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